#タオルの耕人



タオルの耕人<加藤タオル>
静岡県は横に長い。その西部に位置する磐田市。
古くは帆布、雲斎織、別珍、コール天(コーデュロイ)
ここにはそうした布の仕事が暮らしのそばに根づいています。
国道から南へ車を走らせると
遠州灘へ注ぐ太田川のそばに、タオル直売しますの看板。
奥に入ると、昔の面影を残す工場の建屋が左右に連なります。
そこが加藤タオル。1920年に岡木綿を織り始め
戦後はタオル工場として機を動かした、浅からぬ歴史があります。
タオルは縦糸、横糸、肌に触れるパイル糸でできています。
それが太いのか細いのか、どう縒る(よる)のか。
加藤タオルさんのレシピが、触れた肌には伝わります。
なかでも、生成りの糸を「そのまま」織る一枚があります。
名前はそのまま「きなりのまま」。
脱色も染色も、糸を安定させる糊付けもしない。
だから織機はゆっくり進めるしかなく、
職人は膨大な数の糸の切れや布の顔に目を光らせる。
糸に余計な負担をかけないために
手間のかかる方を選んでいる。
「そのままでいい」は、やさしい顔をした難しい手仕事でした。
そうして丁寧に織り上げられた健康な綿糸は
最初からすっと肌になじみ、
洗うほどに吸水性も高まっていくのだそう。
いいタオルとは何か?
とにかく使いやすいタオルだと加藤タオルさんは語ります。
毎日使えて、よく吸って、乾いて、長くそばにいられること。
使う人の毎日にどれだけ静かに入っていけるか。
そこにタオルの良さがあるように感じました。
手間をかける。
でも、手間は押しつけない。
気づけば毎日の中にあって、肌がちゃんと覚えている。
そんなタオルがいい。
控えめな誠実さを持ちながら、
加藤タオルは今日も誰かの
「そのまま」に触れるタオルを織っていきます。




